ありふれる殺人的平等感
最近は思ったことがまとまった思考にならず、短いことばの欠片としてぽこっと現れることが多い。そういうときに出てくることばの欠片は大体5~7文字に収まることが多いので短歌という形式にまとめることで保存するようにしている。
というわけで、今回は最近作った短歌をいくつか並べてみる。
はい、ただそれだけの回です。
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カフェラテで恋しく揺れる襟足のカールは小人の仕業ではない
一人称がやや崩れたらあの人の耳の形を思い出せなくなった
ツナ缶をわずかに一つ食う時もバニラ、バニラは高収入だ
階段で息が切れたらぼくはもう圧倒的にコフレドールになれない
産んだ子の髪を掴んで投げるようで孕むの孕という字の正しさ
JKとしての人生を2時間観てもぼくの人生は腹がすく
寂寥をじゃくびゅうと読む
びゅう、と風
渋谷の風は誰にも当たらぬ
あなたとは他人でいるがカツカレーでお待ちの方として夫婦にはなった
脚フェチの彼の親父も脚フェチで
そうだ、地球は3番の星
「襟足の寝癖をなぞる指が好き」
百億年後、ぼくは孤独だ
無機質の彼にも朝が降るごとく、美人ナースはぼくのものでない
「あなたにはあなたのように生きてほしい」の、ハ行とサ行は息しか吐かぬ
救急車が立ち往生しマッキーが今半分ほど染み付いたところ
街灯に体半分照らされてファミマのチキン安らかに在り
さようならを言いたくなくてバイバイと言ったらさようならと言われた
しおりにしたこの電話相談カードで救われた人をぼくは知らない
みながみなみながらみないふりをするそのえねるぎーででんしゃはうごく
中指をみじん切りする
血で染まる
腕軽くなる
ぼくここにいる
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だから、これだけって言ったじゃないか。